プロダクトのUIサウンドデザイン入門 for UX - ui sound for ux

1."発音設計"の考え方とプロセス

イメージコンセプトの構築

■イメージコンセプトを固める

  
UIサウンドで表出するイメージを決めましょう。サウンドは戦略的に使うに値するものです。誰しも音楽に癒やされたり、クールなサウンドに格好良さを感じたりしたことがあるでしょう。UIサウンドで特定の商品イメージや企業イメージをユーザに印象づけることができます。
商品や企業のイメージは、すでにプロダクトブランドやCIで定められているかもしれません。そうでない場合は、ユーザの年齢や性別、また機器利用の目的等を考慮し、デザインイメージを定めましょう。これは、カラーリングを含むプロダクトデザインのコンセプトと合致させるべきです。UIサウンドはプロダクトデザインの一部でもあるからです。

板野菜穂, 和氣早苗, 操作反応音の音色と機器の公共性や色に関する一考察, 日本音響学会2012年春季研究発表会,2-8-7, pdf 2pages, 2012

有光哲彦, 戸井武司, 聴覚マッチングに基づく自動車ボディの色彩が扉閉まり音の印象へ与える影響の評価 自動車技術会論文誌,Vol.44, No.6, 1403-1408, 2013

■イメージコンセプトを伝えるために

イメージコンセプトが固まったら、それをデザイナーに伝えるための材料を用意します。まずはイメージを表す言葉を見つけます。「クール」「プリティ」「高級」「ナチュラル」等の形容詞や感性ワードの組み合わせ、あるいは「新しい時代を開拓する使命と力」「人をつつみこむ優しさ」などの文章もよいでしょう。イメージを表す画像もあるとデザイナーとのイメージ共有に役に立ちます。イメージの共有は容易ではないため、できるだけ多くの材料を用意することが大切です。

■サウンドタイプを決める

イメージコンセプトを踏まえて、どんな系統のサウンドにするか、つまりUIサウンドタイプを検討しましょう。以下の3種類を基本に考えると検討しやすいでしょう。

ビープタイプ
ビープ音(正弦波や矩形波などの電子音)を代表とするシンプルな1音色、多くても2,3音色までを使うサウンドタイプ。いわゆる「ピ、ピー、ビビー」といったサウンド。発音の時間パターン(ピピピ、ピー)や、2ピッチ程度までのピッチパターン(ピポ、ポピ)を利用して情報を表すものです。シンプルで機能的なイメージコンセプトに適しますが、かわいい、エキゾティック等複雑な印象は表現はできません。

効果音タイプ
リッチな音色(多様で複雑な音色)を利用するサウンドタイプ。時間パターンや、数音までのピッチパターンに加えて、音色の印象を積極的に用いながら情報を表します。ゲームのUIサウンドのイメージで、多様なイメージコンセプトを実現できます。

メロディータイプ
音楽的なメロディーフレーズも利用しながら情報を表すサウンドタイプ。音色に加えて音楽的表現で幅広いイメージコンセプトを表現可能な一方、一つのサウンドが長くなるため、派手になりすぎないように注意が必要です。全部のUIサウンドをメロディーにするのではなく、ポイントを絞ったメロディー使い(基本は報知音のみ)にする必要があります。

どのタイプがよいのか決めにくい場合は、サウンド発注の段階でサウンドデザイナーと相談したり、同じイメージコンセプトで2タイプを作ってみるのもよいと思います。