プロダクトのUIサウンドデザイン入門 for UX - ui sound for ux

2.メッセージの表現

警告性のデザイン

危険を知らせる信号音には以下の考慮が必要であるとされています(※1)。

①種々の騒音下において検知されやすいこと
②高齢者など広い年齢層を対象にしても検知されやすいこと
③音が検知された場合、それが何らかの警報であることが容易に認知されること
④文化の違いにより理解が異ならないこと

その上で、“日本、ドイツ、アメリカを通じて危険と感じさせる音は、周波数が変化する音(周波数変調音)であり、広帯域の周波数成分を含み、かつ、時間的に早い周期で変化する音。より具体的には125~2kHzの周波数成分を含み、500msec周期で周波数が低い方から高い方へ変化する音である”とのことです。 

音は視覚と違いどちらを向いていても聞こえるため、警報、警告音は多く利用され、またこれらについての研究も多くされてきました。文献2(※2)がここでも参考になるでしょう。
警告・警報については業界規格等で定められている場合もありますので確認が必要です。例えば、医用電気機器の警報システムについて定めたIEC6060-1-8の規格内には、患者の状態に対応した警報信号音の備えるべき特性が定められているため、対象機であれば規格に沿う必要があるでしょう。

ところで、以上に紹介した内容はかなり危険性の高い警告ついて対象にしています。一方でプロダクトのUIサウンドを設計していると、さまざまなレベルの「警告音」を利用したくなります。例えば、バッテリー切れが近いことを知らせるメッセージも「警告音」と呼ばれることもありますが、これは確かに切れたら困りますけれど、身の危険が迫っていることを知らせる警告とは全くレベルが異なるでしょう。一つのプロダクトで、通知に近い軽い警告から、ケガの危険を伝える強い警告まで様々なレベルの「警告音」を使いたくなる場合もままあります。「警告度を調整できるサウンドデザインの方法」について、今後の取り組みが待たれます。

※1
桑野:警告信号音の役割とその音響特性, 人間生活工学Vol2, No4. (2001.10)

※2
岩宮:警告音のデザイン, サイン音の科学(岩宮眞一郎), コロナ社、pp113-129, 2012